衆生の欲望·貪欲は永遠に満たされないものです。味わえば味わうほど、より大きくなります。
例えば、性的関係を経験したことがない人が一度経験してしまうと、とめどなく求め続け、いつまでも完全に満たされることなく、情欲は益々大きくなるばかりです。
一部の人々は、一度経験すれば満足するのだと甘く考えます。しかし、経験さえすれば、欲情は軽減されると思うのは、とんだ夢話にほかなりません。
それは、あたかも塩水を飲むのと似ています。飲めば飲むほど、喉の渇きがひどくなります。性欲·貪欲も、味わえば味わうほど燃え盛り、いつまでも私たちの元を立ち去りません。
考えてみてください。もし、貪欲は満たされると本当に減っていくのならば、人生で何度も満足を経験した多くの人は、もうその欲望から離れていくはずです。
しかるに、未だ欲望への欲求は増すばかりで、時間の経過と共に減少しないのは、何故でしょう?
性的な欲求は、この世界で最も魅惑的で、生涯それに溺れたとしても、決して満足を覚えないのです。
快楽がもたらす喜びは、一瞬の時間に過ぎませんが、一方で、それに伴う苦しみの果実は、幾多の生涯に渡り、耐え続けなくてはなりません。
荷車を引く家畜が、道に止まって草を一口食べたというだけで、絶えまない鞭を受けるが如く。ほんの一口の草しか食べていないのに、心身は大きな苦痛に苛まれることになります。
得るものは非常に少なく、苦痛は大きい。世間の欲望·貪欲は、あたかもこのようなものです。
貪欲は私達に多大な害を為します。貪欲は、満たすことでそれを弱めるということは望めません。貪欲を根本的に除去したいのならば、ダルマの要訣によって退治するしかないのです。
