『慧灯・問道』序言

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2019-03-22
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これは実際に起こる問題をあなたが解決する一助となるためのシリーズの書籍です。
人の心が浮ついているこの時代では、自分の心と向き合って原点に立ち戻り、真実を探し始める人がますます多くなっています。若い人たちの多くはいにしへの広大で奥深い智慧に引き付けられ、その真相の如何なるものかを探り出そうとしています。


しかし、内面に向けて自我を探る旅路は平坦なものではありません。大海原のように広がる膨大な情報や様々な方法、色取り取りの観念に直面して、多くの人たちは茫然としながら、自分の行く道に戸惑っています。
「プレッシャーの中、どうすればありのままに生きていけるのでしょうか。」
「好きでない人とどうやって付き合えば良いのでしょうか。この世界とどうやって向き合えば良いのでしょうか。」
「様々な悩みに直面する時、どうすれば心の落ち着きを取り戻せるのでしょうか。」
「どうすれば未来への不安と焦りから解放され、本当の安心感を手に入れられるのでしょうか。」
「天国と地獄はいったいどこにあるのでしょうか。」
「命の真相は何なのでしょうか。」
……
疑問は悟りの始まりです。このために、『慧灯・問道』シリーズが誕生しました。このシリーズは私たちの日常の生活や仕事、社会で話題になっている物事をめぐって、「問」の中で「道」を追い求め、「道」の中で様々な悩みを解決してくれます。この中では、ぎこちない説教も、タブーとなる話題もありません。あるのは心行くまで行われる対談、バラエティーに富んだ質疑応答、心の溶け合う喜びです。事の大小を問わず、その深浅を問わず、あなたを困らせているものなら、すべてその解決の道が説き明かされています。
このシリーズに登場するスペシャルゲスト、名高い心の教育者として知られる高僧ケンポ・ツルティム・ロドゥ師は、極めて徳と人望の厚い善知識なのです。それと同時に、ケンポは西洋科学や哲学、心理学などの領域に精通する博学の学者でもあります。ケンポは科学的例証を用いながら、現代の人たちに親しまれる言葉をもって典籍を解釈し、意味深い内容を分かりやすく説明するアプローチに長けていらっしゃって、一般の方々に非常に高い人気んがあります。シリーズの第1期の質疑応答では、ケンポは百を越える問題を解いてくださいました。『慧灯・問道』番組の現場のほうは歓喜と熱気に満ち溢れるものでした。ケンポの虚飾のない真摯で、かつ融通無碍な回答は一代の大師の風貌を拝見させ、世界に対する新しい理解と認識をもたらしてくださいました。ケンポは、「勇気をもって疑惑と向き合ってはじめて盲目的に従うことを免れるのです」なぜならば、「人が生きている上で最も有意義なことは、明るい世界に通ずる道を選ぶことであります」と述べられています。
確かに、短い人生の中で、徹底的に自我を認識すること、心の境地を上達させることより満足を与えてくれるものは他に何があるのでしょうか。
シリーズの第1期は私たち皆が抱えている典型的な問題が収録、編集されています。初心者の方であれ、達人の方であれ、あるいは好奇心のみで覗かれる方であれ、皆この中から意外な収穫を得ることができます。言は多きに在らず、善(よ)く疏すれば則ち通ず(言葉は多さによらず、うまく解釈できたら通じるものになります)。智者は数少ない言葉で時々人々を一瞬で悟らせたり、迷いの中から柳暗花明(春の野が花や緑に満ちて、美しい景色に溢れること)の新しい知の世界に導いてくれます。もしかしたら、『慧灯・問道』は一個の精巧な鍵のように、知らずうちに智慧への方便の扉を開いてくれるかもしれません。

ここで一点ご説明しておきたいことは、このシリーズは番組『慧灯・問道』の録音データの文字起こしのテキストに基づいて編集されたものだということです。番組の即興性の関係上、内容的に行き届かないところがあるかもしれませんが、ご理解、ご諒承をいただけましたら幸いです。制作に加わられたボランティアの方々、前面及び裏方のお仕事のいずれにせよ、一人ひとりが役目を果たすのに心血を注いでご尽力頂いたことに対して、心よりお礼申し上げます。中でも、ケンポ・ツルティム・ロドゥ師が多忙なスケジュールの中で貴重な時間を割いてくださり、遠方より番組の現場にお越し頂いて、苦労を厭わず皆さんのために質疑を解いてくださったことに対して、深甚なる謝意を表します。様々な善き因縁が合わさって、初めて一幕、一幕の素晴らしい対話と交流が皆様に披露されることを実現することができました。

雲散れば則ち日出で、砂尽くれば則ち水清し。真理に赴く途上、相変わらず多くの未知と疑惑が待ち構えていますが、光の灯を手にせば、長き夜は何ぞ恐るるに足らんや。願わくはこのシリーズの本によって、皆さんの心に立ち込める迷いの霧が吹き飛ばされ、よりよい光輝く未来が迎えられますように。


『慧灯・問道』編集部
2017年10月20日